開学60周年記念ホームカミングデー 
Iwate University 60th anniversary

 平成21年6月13日(土)はチャグチャグ馬コの日、岩手大学は昭和24(1949)年5月新制大学発足、2009年で創立60周年を迎えますので、その記念事業が実施されました。その中心事業の「第1回ホームカミングデー」、「益川敏英氏の記念講演会」、「創立60周年記念式典」などが行われました。特にノーベル賞受賞の益川敏英氏の講演会は一般市民が大勢詰め掛けて、大学構内は人で溢れかえりました。この日は、東京支部からは澤藤支部長や柴田副支部長が参りました。


岩手大学創立60周年記念講演会の内容
演題: 「現代科学と市民」
講師: 益川 敏英 氏 (2008年ノーベル物理学賞受賞者
    京都産業大学教授、京都大学名誉教授
日時: 平成21年6月13日(土) 14:00〜15:30
       (開場、受付開始 13:00)
場所: 岩手大学第一体育館
■高塚理事による益川敏英先生のご紹介・・・益川先生は昭和15(1940)年2月15日名古屋市生まれ。名古屋大学に入学、昭和42年3月同大学院終了、理学博士となる。専門は「理論物理」で大学院終了後、同大の助手 となる。平成20(2008)年12月にノーベル物理学賞を小林誠教授(高エネルギー加速器研究機 構)とともに授与される。自然界の非対称性の説明には、6種類のクォークの存在を予言 し、CP対称性の破れを説明した学説を樹立した。平成6(1994)年に6個目が発見された。先生の人柄をご紹介すると、次の三つである。 @おおらかであり、アバウトであるが、皆に元気を与えてくれる人、A話好きであり、趣味に感心が強い人、Bアマノジャクな人。学ぶということは、人生に崇高なものを与えることである。

■益川敏英氏の講演要旨 ・・・演題「現代科学と市民」   本稿は当会以外の一祐会員から寄せられました。
 自分の性格上、5年位同じところに居ると何処かへ行きたいと腰がムズムズしてくる。今まで名古屋に生れ、学び、京都にて研究していたので、今度は箱根関の東の方へ行こう と思い、東大に願書を出した。そうしたらOKが出た。この東大時代の4年間(昭和51年4月〜昭和55年3月)が多くの人々と知り合いとなった。友人関係者が多くなった。そして比較的多くの人々と議論する事が出来た。「科学と社会」についての1例…エジソンは見よう見まねで仕事をした。これは20世紀初期であったから成功した。しかし、21世紀はぜんぜん違う社会現象となっている。エジソンはチョコ、チョコやっていても完成できた。21世紀の一つの例で、テレビについて言えば、当初は真空管テレビであり、改良されてトランジスタとなり、トランジスタ1個で真空管10本くらいの能力を持った。現在はNS集積回路開発により、NS集積回路(1cm平方のサイズ)1個でトランジ スター1000万個の機能を持っている。20世紀から21世紀の科学の進歩は、真空管からNS集積回路との差くらい驚異的に離れている。原理は一つであるが、その目的達成には無数の手段があり、達成方法は無数にある。
 科学阻害=労働阻害  科学が発展すれば発展するほど、市民から離れていく。現代の社会もそのような状況である。 科学者の社会的発表は論文である。雑誌社編集長がこの論文を雑誌に掲載する事を了承された後で、科学者が発表、公表するのが科学者のルールである。 基礎研究は大多数の人々で行なわれており、実証科学では1000人単位以上もあり、さらに拡大していくものであろう。将来は、全ての科学分野で、全てを実証しなければならないと いうことになるかもしれない。科学の精神は「是正のための否定の作業」が必要である。この否定の作業を全て終了して、はじめて真実を得ることが出来るのである。
 「楽しみ」を知ることは、知識、情報、方法など総合的な条件が必要であり、そのために準備、教養が必要である。算数の「九九」が大切なものであるのは、全てのものの基礎だからである。漢字を知っているということは、小説が読めるということである。準備するのが教育である。それを補完するのが友人である。課外活動すること、コミュニケーションをすることで友人を得ることができる。
 20世紀に比べて、21世紀は高度に発展し、変化も激しい。物事には、10年前に予兆があり、10年間で変化が現実になり、後の10年で完成する。30年間で発展、変化するものである。この発展、変化させる根元は科学である。この根元の更なる根元は教育+友人(課外活動)である。子供は現在しか知らない、どのように変化していくか知らない。どのように変化するかを読み取る力を与える事が必要である。
※講演要旨に聞き違い、理解不足、記述などに間違いがあると思います、ご教授を請けて訂正をしたいと思います。どうぞよろしくお願い致します。 平成21年6月22日記す。

 
この日はチャグチャグ馬コの日 正門に看板が立つ
 
手前グラウンドの向こうに岩手山 懐かしの学食 特別和風定食¥360、肉炒め定食¥350

   
工学部入り口前の門 敷地内はすべて禁煙です


 ホームカミングデーの受付。なぜか女子中学生?女子高生も・・・

益川敏英氏の記念講演会場の岩手大学第一体育館


記念講演会の受付風景

   
柴田隆昭さん 阿部源祐さんと斉藤健さんの仙台組 太田原一祐会長も

柏葉安兵衛科会会長 柴田隆昭さん 花束を手に益川先生ご退場



緑のきれいなキャンパス


岩手大学旧正門(農学部)


岩手大学第一体育館前には「花ふふみたる桐の葉を」の学生歌の看板がある

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