講演会:テーマ『岩手大学における大学改革と独立法人化の現状と展望』
講師:岩手大学工学部電気電子工学科 教授
田山 典男先生
[講演要旨]
現在の国立大学を巡る状況は、大学の名前が変わろうかという大激震の状況下にある。大学が独立法人に移行して教職員も非公務員となり、大学が国立でなくなる。これが平成16年4月から実施されることが確定している。 国立大学構造改革の方針 スイスの民間研修機関によると、わが国経済が国際的にトップだった時代からこの10年余りで30位へと大きく凋落した。不良債権処理の遅れや様々な面での構造改革の遅れがこの状況をもたらしたことを反省し、政府は聖域なき構造改革の路線(骨太の方針)をとりました。その一つが文部科学省から出された 「大学(国立大学)の構造改革の方針」である。「活力に富み国際競争力のある国公私立大学づくり」 という副題がついており、以下の3つの方針からなる。
1.国立大学の再編・統合を大胆に進める。 岩手大学における再編・統合の動き 岩手大学において、 弘前、秋田、岩手の北東北3大学の連携・統合の話が進んでいる。連携推進会議が設置され、5月22日には単位互換協定に3大学が調印した。教育学部の再編や 獣医学部の設置、ロースクール、学部内学科再編等の様々な構想が出されている。農学では東北域での再編の話もあるようだ。 農学部に農業機械などの分野があり、工学部との再編の話もある。 大学法人化によって何が変わるのか さて、大学法人化というのは、 いったいどういうことであるか? 今のスケジュールでは平成15年度に『国立大学法人法』が制定され、平成16年4月に大学法人に移行する。我々も公務員ではなくなる。学長は 言わば 企業の社長であり、大幅な経営権限を付与される。役員会のポストには学外者も参画し、民間的発想の経営へ移行するだろう。経営責任が明確であり、 第三者機関が評価した結果により、大学予算額が変わる。予算額が 給料へ反映されるかもしれない。法人化により、大学の自主性と自律性が拡大し、予算をどう使うか大学に任される。組織体制は、 学長、副学長からなる役員会が重要事項を議決し、運営協議会が経営面の審議に、評議会が教学面の審議に当たる と言われている。最近の教授会では 報告事項が多くなっている。 法人化に伴って、教育体制、研究体制、地域貢献・社会貢献が強化される。大学発のベンチャー起業化も求められている。教員に対して、業績評価、教員公募や任期制、外国人教師の増員など、様々な意味での意識改革が求められるだろう。 改革と変身により個性輝く大学を作ろう 戦略的に個性輝く大学を作ろうという目標に立って、我々は何をポイントに、どのように生き残りをかけたら良いのだろうか。高度成長の過程で「良いものを 安く」 という コスト経営の成功によって、日本は現在の経済発展を成し遂げた。その結果、日本は、今や世界一高い人件費の国となった。お隣の中国の人件費と比べると 桁が違う。だから、従来型のコスト経営では、もはや成り立たないのではなかろうか。我が国民が発展し続けるには、高付加価値創造の経営へ変身して行かなければならない。独創技術で高付加価値な製品やサービスを創出する国家へ体質を構造改革することが求められている。改良の国から発明の国へ 変身をする <真の構造改革>が求められている。独創的製品を開発して『知的財産権』 を活用する国家へ 変わって行かなければならない。米国では、大学が、ビジネスに必要な人材を育成し、研究がビジネスに直結する という巨大なビジネス産業になっている。我が国も、経済産業省が、大学発ベンチャーを3年で1000社にするという計画を出しており、発明に伴う特許出願を10年で10倍にするように求めている。 母校では、教育プログラムの充実や、学生のやる気高揚、教官の自己研鑽、研究体制の強化等の改革を進めている。これから大変革の時代を迎えるが、『大学に行けば何かがある』と思われる大学になって行かなければならない。科会の皆様のご理解とご支援をお願い致します。 |
田山 典男(たやま のりお)先生 プロフィール 1966年3月 岩手大学工学部電気工学科 卒業 その間、 1992年度 文部省在外研究員 (ニューヨーク州立大学 客員教授) 1996年度-1998年度 NEDO・中小企業事業団 創造基盤技術研究プロジェクトの総括責任者 「FMR原理による3次元CT装置の開発」 (文責:澤藤隆一) |