葬送の儀は下記のとおり行われました |
|
【澤藤隆一・記】藤井克己先生お別れの会は、ご逝去から三ヶ月を経て開催されました。朝方はパラパラと雪が舞い、やがて前日までの寒さがウソのように晴れて穏やかな日和となり、大通りには雪が無いものの歩道は冠雪して歩行に注意しなければならない状況でした。 10時過ぎに会場前の地下道で平山健一元学長と遭遇して話をしながら会場入りしました。受付を済ませて、岩渕 明学長はじめ呼び掛け人の皆様やご遺族が居並ぶ中、挨拶しつつ一輪の花を頂いて中央祭壇前で献花しました。実に3百人を越える人たちが集まりました。 祭壇には天皇陛下からの瑞寶中綬章、正四位に叙するとの安倍晋三内閣総理大臣名の位記が飾られていました。いわゆる死亡叙勲で、亡くなった日付けで授与されるものです。その隣には、有馬朗人東京大学同窓会連合会長名の感謝状がありました。お別れの会の日付けで、岩手県における東京大学同窓会「岩手赤門会」の創設に参画し、その初代会長を務められた貢献への感謝状でした。 式典の最初に藤井克己先生に対して黙祷を捧げた後、呼び掛け人を代表して岩渕 明学長の挨拶があり、続いて弔辞はお二人、進藤金日子(シンドウカネヒコ)参議院議員が農学部農業土木科での恩師藤井先生との思い出を述べられました。先立って藤井先生のふるさと滋賀県を訪ねたこと、学生時代の先生との楽しい思い出、教えを守って土地改良に奮闘していることなどです。もう一人は大学院で藤井先生と共に研究して、「これからの大学は女性の教師が増える、頑張れ」と励まされて、今は理工学部システム創成工学科社会基盤・環境コースの助教をされている石川奈緒さんでした。先生と教え子や研究員たちとのミーティングでもそのお人柄により周りに笑いが絶えなかったというような思い出を話されました。その後、弔電披露がありました。東京大学の農学の後輩である宇都宮大学長の石田朋靖さんの弔電が読まれ、そのほかはお名前のみの紹介でした。 その後呼び掛け人のひとり、高畑義人農学部長が献杯の挨拶をされました。他にもたくさんの方が先生との思い出を語られましたが、共通していたのが先生のユーモアあふれるスピーチでした。やはり関西出身のためもあるのか、真面目な話の中にもクスッと笑わせるセンスがあり、読書家であることはその博識から感じられましたが、世俗の出来事や当世の流行ごとにも通じておられ、どんな話になっても場が盛り上がるという方だったということです。何よりも東日本大震災からの復興に対して並々ならぬリーダーシップを発揮されたことが称賛されました。 |
|
藤井克己先生は、先生と言いながら、筆者より3歳若かったので、実は筆者のほうが先に生まれています。全く偉ぶらず、気さくな方で、大好きでした。経験によれば、本当に偉い人は偉ぶらないもので、だから人を惹きつけるのです。しかも出しゃばらず、明るい方だったので、こういう人は長生きするのではと思っていました。31歳のときに東京大学農学部の教員から岩手大学農学部に移り、43歳で岩手大学の教授となり、52歳から3年農学部長を勤められ、55歳から2期6年間岩手大学長を勤められました。しかしこの間にあの2011年3月11日(金)の東日本大震災に遭遇され、被災地の復興のため、各方面と協力して、岩手大学の教員、職員、学生に呼び掛けて、一致団結してボランティア活動を推進されました。それだけではなく、水産部門を持たないゆえに、北里大学や東京海洋大学と連携し、釜石に水産学の部門を設置して、三陸の水産復興や、被災者のコミュニティづくりに並々ならぬリーダーシップを発揮されました。このときの縦横無尽の大活躍がその命を縮めたのかもしれません。しかしその功績は多くの人の心に刻まれ、長く語り継がれることでしょう。 会場では鈴木重男葛巻町長や熊谷 泉紫波町長、沼田秀彦盛岡市商工観光部長などとご無沙汰ですと挨拶し、岩手大学農学部の広田純一教授とは12月3日(日)日比谷図書館文化館での「岩手大学三陸復興・地域創生推進機構首都圏向け報告会」の話をしたり、岩手大学同窓会連合の渡邊 喬会長からは、第11回となる「卒業生・修了生と学長との懇談会」を2018年は東京で開催するので協力を頼まれました。呼び掛け人でもある鈴木幸一北水会会長とは、冬虫夏草を藤井先生に飲んで欲しかったと話しました。経営協議会学外委員の磯田文雄名古屋大学アジアサテライトキャンパス学院長や、鎌田英樹IBC岩手放送社長、高橋真裕岩手銀行会長とも言葉を交わしました。 最後にご遺族の御礼の言葉として、奥様の藤井孝子様が、「こんなに大勢の方にいらして頂いて、深く感謝申し上げます。少し足早ながら豊かな人生であったと確信する機会となりました。たいへん有難うございました」と述べられました。出口に呼び掛け人とご遺族の皆様が並び、挨拶して退席、故人が好きだったという京都の煎餅店、京餅堂のお菓子「菜宝楽」をお土産に頂いて盛岡駅から新幹線に乗りました。 |
料理もビールも有り余りました |
阿部貴美助教、柏葉安兵衛先生、長田 洋教授 後方小さく平山健一元学長 |
久し振りの仙台;梅 良之さん(概TK相談役) |
千葉 則茂岩手県立産業技術短期大学校長と澤藤隆一 |
岩渕理事からのご紹介後に登壇された藤井学長は、最初やや緊張されていたようでしたが、「学長の6年を振り返って」としてご講演を始められると、あっという間にいつもの軽快でユーモアたっぷりの学長に戻られました。60分のお話の後、花束贈呈が行われました | |
2013年2月6日、ソロモン諸島テモツ州サンタクルーズ島を襲った大地震と津波に対し、岩手大学に国費留学生として留学中のソロモンの女子留学生の呼びかけに応えて、岩手大学は義捐金公募を4月末まで続け、5月9日に藤井学長より同留学生に目録が手渡され、翌日日本ソロモン友好協会の義捐金口座に寄付されました |
岩手大学は三陸復興推進機構宮古エクステンションセンターを2012年10月1日設置し、プロジェクトマネージャーとして浜田 修氏を配置しました 〒027-8501 岩手県宮古市新川町2番1号 宮古市役所 宮古市産業振興部宮古市産業支援センター内 |
藤井学長の祝辞 |
進行(左)は長田教授 |
藤井学長の記念講演テーマです |
藤井学長はリラックスされて面白おかしくトーク |
|
国立大学法人化の看板 |
東日本大震災復興支援活動 |
大江戸さんさによるさんさ踊り 大江戸さんさは東京で盛岡さんさ踊りを踊っている団体です。踊り終わった大江戸さんさのメンバーは会場内で引っ張りだこでした。メンバーの中に岩手大学の卒業生が二人居て、東京で岩手大学の学長に会えるなんて嬉しいと大感激、藤井学長も頑張っている卒業生に会えて嬉しそうでした |
柏葉科会長、太田原同窓会連合会長、藤井学長、渡邉一祐会長 |
岩手大学は、2010年11月12日付けで環境規格ISO14001を認証取得しました。これまで岩手大学は、2006年1月に「岩手大学環境方針」を制定するとともに、2008年にはISO14001認証取得を目指した「キックオフ宣言」を行い、教職員・学生が一体となって環境保全・再生に向けた各種取組を実施してきました。11月18日には審査機関である日本品質保証機構の森本理事長から登録証が藤井学長に授与されました(下の写真)。登録証を授与された藤井学長は「今日がゴールではなく、テークオフ(離陸)した日、今日から自立した環境システムを推進していきたい」と挨拶しました。 |
「岩手大学の環境人材育成プログラム」が温暖化防止いわて県民会議主催の「Eco-1グランプリinいわて」学校部門で最優秀賞を受賞しました。受賞理由は、学内における環境マネジメントの導入や、中小企業における環境報告書の作成支援など様々な取組を行っており、大学内のみならず、学外へも取組を広げていることなどが高く評価されました(2010年11月)。 |
藤井 克己学長 |
2010年4月19日(月)、バンクーバー冬季パラリンピック金メダリストである狩野亮さんが藤井克己学長を表敬訪問されました。工学部の卒業生で、久しぶりに岩手大学を訪れた狩野さんは「このように迎えていただいたことにとても驚き、感動しています。いろんなことを思い出しやる気が出たので、これからのトレーニングにより高いモチベーションで挑めると思います」と語りました。 |
平野紀夫准教授(農学部)、梶原昌五准教授(教育学部)、北爪英一教授(人文社会科学部)、清水健司教授(工学部)、吉田純前技術部農学系技術室副技術室長のグループによる児童生徒を対象とした体験活動プログラム「環境と水」が、平成22年度文部科学大臣表彰科学技術賞(理解増進部門)を受賞しました。文部科学大臣表彰科学技術賞(理解増進分門)は、青少年をはじめ広く国民の科学技術に関する関心や理解増進等に寄与し、又は地域において科学技術に関する知識の普及啓発等に寄与する活動を行った者を対象とした賞です。同グループは2001年から毎年、小、中、高校生を対象に、身近な河川、池、水田、排水口等の水を利用した実験や講演を通じて、参加者に環境保全の大切さについて啓発活動を行ってきました(2010年4月15日) |
講演内容 | 岩手における地域連携について -岩手の”大地”と”ひと”と共に- | |||
岩手県は全国の4%の面積に1%の人口の県である。年少人口と生産年齢人口の割合が全国平均より少なく、老年人口の割合は多いし、人口そのものが減っている。すなわち働き手が流出し、過疎化、高齢化が進んでいると言うゆゆしき現状にある。バブル崩壊直前の平成4年(1992年)をピークに、県内製造事業所も従業者数もどんどん減って、それまで増加してきたペースよりも減少のペースの方が大きいという悲観的な状況だ。岩手大学の学生数も減ってきている。
これは産業、経済のパラダイムシフトが起こっているためで、こうなると産学官連携で新産業の創出、協働によるイノベーションを創出して行かなければ明日は無い。INS(岩手ネットワークシステム)は岩手人としては珍しく、積極的な活動で全国から注目されている。41の研究会があり、1,144名の会員がいる。事務局は岩手大学工学部の教員である。今や全国各地で交流会を開いている。 岩手大学は県内市町村との連携し、6市から地域連携推進センターに共同研究員を派遣していただいている。また花巻市には複合デバイス技術研究センター、北上市には金型技術研究センター、奥州市には鋳造技術研究センターが設置されている。岩手大学工学部構内には盛岡市が産学官連携研究センター(コラボMIU)を設けている。いわて5大学連携〜イーハトーブ大学〜の取り組みも・・・岩手大学、岩手県立大学、岩手医科大学、富士大学、盛岡大学。北東・地域大学コンソーシアムとしては、岩手大学が事務局となり、帯広畜産大学、弘前大学、山形大学と。金融機関と連携し産学協同研究企業への年1千万円を上限とする助成は日本政策投資銀行、岩手銀行、北日本銀行、東北銀行、盛岡信用金庫と連携している。東京都北区、板橋区とは「ものづくり夜間大学」を開講し、岩手大学の教員が出前講義している。横浜の産業振興を担う(財)横浜企業経営支援財団(IDEC)とも提携した。海外では大連理工大学と提携している。 |
2009年11月12日岩手日報朝刊に写真入りで下記記事が掲載されました |
挨拶する澤藤会長 (岩手日報) |
会場のサンセール盛岡 |
柴田隆昭東京支部副支部長、岩手大学藤井克己学長、一祐会太田原功一祐会長(いずれも当時) |
|
[講演会] 藤井克己 岩手大学学長 「第2期を迎える法人岩手大学」・・・藤井学長からは開学の頃からの大学の理念や昨今の大学法人化に至るまでの経緯の紹介と、そして今回の記念行事を踏まえて、今後岩手大学が進むべき方向についての決意が述べられました [右写真] 藤井克己学長、最長老阿部源祐氏、堺 茂樹工学部長(のち学長)、お三方とも、もう会えないことがとても残念です |
岩手大学と八幡平市は、2009年3月25日(水)に相互友好協力協定を締結しました。この協定の締結により、両者は、産業振興に向けての支援・協力、環境・情報化社会における諸課題や学校教育・生涯学習における諸課題への対応について、連携・協力し、相互の発展を目指していくこととなります。 |